それは月曜日の朝のことでした。週末に届いているはずの郵便物を確認しようと、いつものようにマンションのエントランスにある集合ポストに向かいました。私の部屋のポストは、鍵で開けるごく一般的なタイプです。ところが、その日に限って、何度鍵を差し込んで回そうとしても、うんともすんとも言わないのです。右に回しても左に回しても、いつもならカチャリと軽快な音を立てるはずのシリンダーが、まるで固まってしまったかのように動きません。最初は鍵を差し込む向きを間違えたのかと思いましたが、そうではありません。鍵穴に何か異物が詰まっているのかと覗き込んでみましたが、特に異常は見当たりませんでした。出勤前の慌ただしい時間だったこともあり、私の心には焦りが募ります。もしかしたら重要な書類が届いているかもしれない。そう思うと、居ても立ってもいられませんでした。しかし、力任せに鍵を回して、もし鍵が折れてしまったら目も当てられません。私は一度深呼吸をし、ひとまずその日は郵便物を諦めて仕事に向かうことにしました。その日の昼休み、私はスマートホンで「ポスト 鍵 回らない」と検索してみました。すると、鍵穴内部の潤滑油切れや、経年劣化による部品の摩耗など、様々な原因が考えられることがわかりました。中には、自分で鍵穴専用の潤滑スプレーを使ってみるという対処法も紹介されていましたが、下手にいじって悪化させるのが怖かった私は、その手は選びませんでした。結局、仕事帰りにマンションの管理員室に立ち寄り、事情を説明しました。管理員さんは慣れた様子で、「ああ、たまにあるんですよ」と言い、マスターキーと小さなスプレー缶を持ってきてくれました。そして、鍵穴にシュッと一吹きし、マスターキーで何度か鍵を動かすと、あれほど固かったシリンダーがあっさりと回ったのです。原因は、やはり内部の潤滑不足だったようです。この一件で私が学んだのは、トラブルが起きた時に自己流で解決しようとせず、まずは専門家や管理者に相談することの大切さです。ほんの些細なことであっても、知識のある人に任せるのが一番の近道なのだと痛感した出来事でした。
ある朝突然ポストが開かなくなった私の話