オフィスのロッカーが開かなくなるという突然のトラブルは、誰にとっても避けたいものです。しかし、この問題の多くは、日頃からのちょっとした心がけや習慣によって、その発生リスクを大幅に減らすことができます。トラブルが起きてから慌てるのではなく、起きないようにするための予防策、いわば「ロッカー利用の心得」を身につけましょう。まず、最も基本的で効果的なのが、「ロッカー内は常に八分目」を意識することです。荷物の詰め込みすぎは、内側からの圧力で施錠機構の動きを妨げる最大の原因です。不要な書類は定期的に処分し、私物は最小限に留めるなど、常にロッカー内に余裕のある空間を保つよう心がけてください。特に終業時には、カバンのストラップなどが扉に挟まらないよう、きちんと整理してから施錠する習慣をつけましょう。次に、鍵や暗証番号の管理方法です。鍵式のロッカーを使っている場合は、鍵の定位置を決めることが重要です。自宅に帰ったら必ずキーボックスに、オフィスではデスクの特定の引き出しに、というように置き場所を固定すれば、紛失のリスクは格段に下がります。ダイヤル式の場合は、番号を忘れない工夫が必要です。信頼できる場所にメモを残すのが有効ですが、その際はセキュリティに配慮しましょう。会社のPCのメモ帳や、誰でも見られる付箋に書くのは危険です。自分だけがわかるような形で、スマートフォンのパスワード付きメモアプリや、自宅で保管している手帳などに記録しておくのが安全です。さらに、ロッカーの「健康状態」にも気を配りましょう。鍵が回りにくい、扉の開閉がスムーズでない、といった小さな異変は、大きなトラブルの前兆かもしれません。そうした違和感を覚えたら、放置せずに早めに総務部などの管理部署に相談してください。早期にメンテナンスを行うことで、完全に開かなくなるという最悪の事態を防ぐことができます。これらの心得は、どれも難しいことではありません。自分のロッカーを、会社から借りている大切な備品として丁寧に扱う。その意識を持つことが、あなた自身を不要なストレスや時間の浪費から守る、最も確実な方法なのです。