築三十年を超える我が家の玄関は、昔ながらのアルミサッシの引き戸です。長年、家族の出入りを見守ってくれたその扉の鍵が、最近どうにも調子が悪い。鍵を差し込んでもスムーズに回らず、ガチャガチャと何度か試してようやく施錠できるありさまでした。それに加え、近所で空き巣があったという話を耳にし、この古くて単純な鍵で大丈夫だろうかという不安が、日に日に大きくなっていました。そこで、思い切って鍵を交換することに決めたのです。どこに頼むべきか悩みましたが、扉自体の建付けも少し気になっていたので、知人に紹介してもらった地元のサッシ屋さんに相談することにしました。電話をすると、すぐに社長さんらしき方が家まで見に来てくれました。引き戸の状態をじっくりと確認し、「長年頑張ってくれた扉ですね。鍵の交換と一緒に、戸車の調整もしておけば、もっとスムーズに動くようになりますよ」と、専門家ならではの視点でアドバイスをくれました。私たちが希望する防犯性能と予算を伝えると、ピッキングに強いディンプルキータイプの鎌錠をいくつか提案してくれました。それぞれの特徴を素人にも分かりやすく説明してくれたので、安心して選ぶことができました。後日、改めて作業に来てもらい、一時間ほどで交換は完了。古い鍵を取り外し、新しい鍵を取り付けるだけでなく、言葉通りに戸車の高さも微調整してくれたおかげで、あれほど重かった引き戸が、まるで新品のようにスッと軽く動くようになったのです。そして何より、新しくなった鍵の頑丈そうな見た目と、施錠した時の「ガチャン」という重厚な音。それは、私たち家族に大きな安心感を与えてくれました。費用は決して安くはありませんでしたが、毎日のストレスから解放され、何物にも代えがたい心の平穏を手に入れることができたのです。あの時、勇気を出して専門家に相談して本当に良かったと、今、心から感じています。
我が家の古い引き戸の鍵を交換した話